蒼山倉庫

ここは蒼山すずなの創作置き場として想定されている

FuliijaちゃんとManikaさんのミザソーグ語談話 #1

ご注意

  • この記事では、FuliijaちゃんとManikaさんがミザソーグ語についての小ネタなどを日本語で喋ります
  • この記事のFuliijaちゃんとManikaさんはメタ視点を持っています

用語

観界・観測世界:この世界とは宇宙を共有していない異世界

スィーフミール群島:ミザソーグ語が主に話されている国家。南半球にある。

アリーアグラ:ミザソーグ語の主な担い手。「花の人」という意味で、人間は花から生まれたという神話世界観を共有している。

弥樹界:アリーアグラが共有する神話世界観における死後の世界。実在する。

アリーアグラ暦:Ariagurish Calendar略してA.C.と表記される。アリーアグラが使っている暦法。西暦に480年足すとアリーアグラ暦を求められる。西暦2024年はA.C.2504年

 

 

 登場人物紹介

Liiguruðaluto Fuliija

A.C.2430 - A.C.2445

スィーフミール群島スート島イファイイェリルのアリーアグラスラム出身。

12歳でスィーフミール軍陸上戦士隊(陸戦隊)に入隊。空挺部隊の設立や新小銃の採用に体を張って貢献した。スィーフミール唯一の対外戦争であるマカダミア共和国との東洋戦争で狙撃部隊の隊長を務めスナイパーとして活躍し、最大1.5kmの狙撃を成功させたことがある。東洋戦争最後の戦いであるダロワ占領戦において戦死、弥樹界に転生する。現在弥樹界7年目。東洋戦争従軍者は何故か弥樹界転生に52年のラグがある。なのでFuliijaちゃんを含む東洋戦争従軍者はみんなちょっと昔の人。

歌が上手く、従軍中に軍の広報アイドルとして何枚かシングルを出したりコンサートを開催したりしている。死後約60年経った今でもファンが居り、Fuliijaの名を冠した歌番組もあるらしい。首都ロングウェルコウンゲの海浜公園には銅像が建っている。

生前の上司であり姉(非血縁)でありパートナーだったLiiguruðaluto Filiijaと弥樹界で再会を果たしている。

 

Jeluþiiju Manika
A.C.2485 - A.C.2498
首都ロングウェルコウンゲの出身。Jeluþiiju家はかなり家柄の良い名家。スィーフミール国内の文化やスィーフミール国文法、更には隣国の言語などにも詳しい。勉強で根を詰めすぎて体を壊し、そのまま回復することなく弥樹界送りとなる。現在弥樹界7年目。

前髪を放置しすぎて目が隠れているが気にならないんだろうか。

 

ねぇねぇManika

どうしたんですかFuliijaさん

私たちのミザソーグ語を差し置いてヴィード語とかいうインスタント人工言語の記事が立ってるらしいよ

へぇ、ミザソーグ語の方が主軸の創作だと言うのに、文法書作って満足してコンテンツの更新を怠っているバカが居たものですね

そもそもあんな文法書誰も読まないよ……

やはりここは私たちがミザソーグ語の解説をするべきなのでは?

そうだね。やろっか。私は言語学に詳しくないから、その辺は任せちゃっていいかな

お安い御用です。私がどうして死んだかご存知ですか?睡眠をとらずに言語の本ばっか読んで過労死ですよ。もはや本業です

反応に困るからそういうのはやめて…

戦死と比べたら趣味に没頭して過労死の方がずっとマヌケなのでネタにしやすいじゃないですか

戦死なんか良いもんじゃないよ。この世から消えた方が良い死因ナンバーワンだよ

そもそも死がいらないです

まぁでも、こうして弥樹界という死後の世界でManikaや他のみんなに出会えて、そして……Filiijaとも再開できたから、死んでよかったってわけでもないけど、これはこれで良かったんじゃない?

今すぐに結論を出すには話題がデリケートすぎます。ほら、そろそろ始めますよ

そうだね。せっかくだから、今ある文法書に沿って口をはさんでいってみる?

それが良いですね。では、Ifüläikä Suzuna "Miðäþöögüsä hiiluhu ðiikon tokoi säübä" 2023に沿って話を進めていきましょう

おー

drive.google.com

第1課は文字と発音だね

とりあえずまずは正式ラテンアルファベット転写にキレた方がいいですか?

 

正式転写
Naaniðin ariagura.
Kirëiümü hen gaiðakolu.
Nna aakolu, kifitaðou siëngä
küfühinä äriägë.
Dau mööhü rödë, moluhu äriä,
kollazeie Þiihumiiluðo.
Taþerutiðina aakolu gukkiva
mikazuumu þiiðu lau.

 

正直言ってウムラウト過多だよね……。あのフィンランド母語話者にすら「ちょんちょん(ウムラウトのこと)が多すぎるよ!」って言われたことある

フィンランド語の正書法もだいぶウムラウト多いですけどね。文法書を進めていけば後で言及があると思うんですが、ミザソーグ語の母音調和って基本的に接辞まで含めた1単語単位で起こるんですよね。だから単語の前か後ろにでも前後母音が分かる記号をちょんと付けとけばいいんですよ

それで生まれたのが簡易転写ってやつだね

 

簡易転写
Naaniðin ariagura.
'Kireiumu hen gaiðakolu.
Nna aakolu, kifitaðou 'sienga
'kufuhina ariage.
Dau 'moohu 'rode, moluhu 'aria,
kollazeie Þiihumiiluðo.
Taþerutiðina aakolu gukkiva
mikazuumu þiiðu lau.

 

最初っからこっちで良いんですよ

 

でもでも、「ウムラウトいっぱいあってカッコいい!」って言われたことも何度かあるよ。こういう人工言語の転写ってやっぱり見た目のインパクトが無いとね?

まぁ見た目と実用性の天秤ですよね。ウムラウト過多は置いとくとして、þとðが出てくるのは私は好きです

アイスランド語にバリバリ影響受けてるのはすぐ分かっちゃうけどね

製作開始時期を考えれば仕方ないでしょう……。ちょうどアイスランド語の講義を取ってるタイミングだったんですから

それに製作初期は手書きだったしね。手書きだったからこそ生まれたクソ転写

手書きでもウムラウト打ってくの面倒でしょうに……

同意だね~。デジタルに移行してアイスランド語キーボードを使うようになったけど、スマホは母音のキー長押しすればウムラウト付き字母が打てるから良いとしてパソコンのキーボードでは正式転写はまず打てなかったよね

スマホで打ったやつをコピペしたりで対応してましたね

そして紆余曲折を経てミザソーグ語入力支援とかいうものが爆誕したね

sozysozbot.github.io

hsjoihsさん本当にありがとうございます頭が上がりませんいつかお礼をさせてください

アマギフかなんかを送ろうとしてうやむやになってる記憶がある

ところで、パソコンでアイスランド語入力にしたときにShift + 半角全角キーを同時押ししたあと母音字母を入力するとウムラウト付き母音字母を出せるって知ってました?

うん知ってた。単語をいくつか入力する程度だったらそれでいいんだけど、がっつりタイピングしようとするとやっぱり入力支援の方が便利だね。直感的なタイピングができるんだよ

まぁアレで「直感的な」ミザソーグ語のタイピングをできる人がどれだけいるか分かりませんが

2人以上いたら奇跡

 

 

文法書に戻ろっか。アソーグ文字にも言及があるね。ガッツリ省かれてるけど

ここ書いてる時期、刻印体すら全部出来上がってなかったのでは?って思いますね

刻印体90文字くらいあるもんね。全部の文字埋めるのに1年かかってるらしいよ

創作初期は全音節に文字振ってたのでその倍は文字数ある想定だったらしいですよ。でも長期間苦労したのに、言及がある通り我々スィーフミール人は刻印体を日常的には使いませんよね

そうだね、使ってないね。でもこのアイコンのネームプレート刻印体だよ

刻印体しかまともにレタリング済んでなくて新体だといまだに手書きしかないんですよ。なので体裁を整える記事には刻印体を使うしかないです

製作をサボるな

で、Fuliijaさんは刻印体の読み書きってできますか?

一応陸戦隊時代に覚えさせられたよ。でも使わないと忘れちゃうね……。自分の名前も書けるかどうか怪しいかな。体感読めるの2割くらい、書けるの1割くらい?って感じ。そもそも私はイファイイェリルのアリーアグラスラム出身だから、新体を覚えたのも陸戦隊に入ってからなんだけどね。いまだに新体も読み書き怪しいことがあるよ

なるほど、刻印体と新体を学んだのが同時期なんですね。大体のスィーフミール人は基礎教育が始まる前後くらいで新体を読み書きできるようになって、基礎教育の中で教養として刻印体をやりますからね。同時期に学んでいるというのは珍しいケースです。新体と刻印体のどちらが分かりやすかったですか?

う~ん新体だね。刻印体はやっぱり文字数が多すぎるよ……。それに直線ばっかりで書きづらいよ

そうなりますよね。刻印体は読んで字の如くまだ紙とペンが開発されていなかった時代に木版や粘土版に彫り込むための文字でしたから、直線で構成されるのは理にかなってます

刻印体が中分院によって正式に決定されたあとほんの数十年で紙とペンが開発されて新体が生まれて、結局刻印体は使われなくなっちゃったんだよね

そうですね。ただ一部の中分院の連中が「刻印体で表されたものこそが正しいミザソーグ語だ!」とかなんとか言ったみたいで、その影響があって中分院の文書は今でも刻印体なんですよね

数百年前の意地っ張りが現代にまで影響を……

現代で刻印体をすらすら読み書きできるのは中分院の委員か養成院の院生か、私みたいなオタクだけですからね。一般の皆さんは新体だけで充分スィーフミールで生活できちゃいます

それにしてもいつまで”新”体って言い続けるんだろうね?新体が生まれてもう500年は経ってるよね?もう新しくないよね?

刻印体に対する”新”体なので多分未来永劫新体と呼ばれ続けると思いますよ

納得いかない。そういえば伝統工芸とかにも刻印体が使われてるけど、その工芸師さんたちは刻印体の読み書きはどんな感じなのかな?

工芸品にある刻印体って装飾の意味合いが強いので、多分すらすらとは書けないんじゃないですかね。読みも普通のスィーフミール人と同じくらいだと思います

何年か前に刻印体で書かれた文章がデザインされた服が流行ったけど、書いてある内容はみんな酷かったんだよね。結局私たち普通の人って刻印体を読めないというより読まないんだよね

そう思います。政府が内部で使ってるから廃れてないとはいえ、よく生き残ってるものです

文字の仕組みも音節文字とアブギダで全然違うのにね

メタ的にはデーヴァナーガリーに影響を受けて発生した文字であるところのアブギダなのが新体で、刻印体は音節文字ですけど、音節文字からアブギダが発生することってあるんですかね

聞いたことないね。もし最初からデーヴァナーガリーを知ってたら刻印体は生まれなかったかもね

固有の文字が2種類あって、一方は文化的にあんまり使われていないっていうちょっと面白い言語景観が生まれたので私は満足してます

創作ってどうなるか分からないもんだね

 

#1 おわり